最近の協定実務では、保険会社のアジャスターが実車確認を行わず、修理工場が事故車の写真を撮影し、その写真を保険会社専用フームに入力して送信、またはメールなどで保険会社へ送信したうえで、写真を前提に協定が進むことが少なくありません。このとき、修理工場側は、写真を撮影し、損傷が分かるように整理し、保険会社へ写真を送信するという作業負担が生じます。
では、その費用を見積書の費用欄に「写真代」として計上し、保険会社に修理費として求めることができるのでしょうか。
現在は当たり前のようにこの費用は一定額で認められていますが、費用のあり方を検討すると、実は慎重に考える必要があるのではと思います。なぜなら、事故車の「修理費」とは、本来、事故車を事故前の状態に復旧するために必要かつ合理的な費用という位置づけです。
そうすると、写真撮影そのものは、損傷確認や修理方法の検討に関係する資料としての要素ではあるものの、車両を直接修理する作業ではありません。
特に、保険会社に送るための写真撮影や、協定資料として整理する作業は、修理作業というよりも、協定対応や資料作成に近い性質を持っていると思います。
そのため、これを当然に「修理費」の根拠となる見積書に費用として計上し保険会社に求めることは、やや筋が弱いのではと思うのです。要するに、保険会社側からすれば、「写真撮影は修理工場が見積や協定を進めるために行っている事務作業であり、修理費そのものではない」と反論される可能性があるのです。
しかし、一方で、現在の実務では、保険会社が実車確認を省略し、修理工場から送られた写真をもとに損傷確認や協定判断を行っていることも事実です。
また、写真が不十分であれば、後から追加損傷が認められないこともあるので、つまり、写真撮影は単なるサービスではなく、協定実務上かなり重要な作業になっていることも事実です。
ここに問題があります。
保険会社が実車確認を省略し、修理工場に写真提出を求め、その写真を協定判断の資料として利用するのであれば、その作業負担は誰が負担するのかという問題です。この費用を見積書の修理費欄に「写真代」として入れてしまうと、修理費なのか、見積作成費なのか、協定資料作成費なのかが曖昧になるため、費用として計上するのであれば「写真代」という表現よりも、「損傷確認資料作成費」「協定資料作成費」「写真撮影・整理・送信費」など、費用の性質を明確にした方が良いのではないかと思います。
もっとも、それでも保険会社が当然に負担すべき修理費であるとまでは言い切りにくく、基本的には修理工場または協定依頼者側が負担する費用と整理される場面が多いように思います。
したがって、写真撮影費用を保険会社に当然請求できる費用として扱うことには慎重に検討すべきに思います。しかし、保険会社が実車確認を行わず、修理工場に写真撮影と送信を求める実務が広がっている以上、その作業負担が修理工場側に一方的に生じていることも、しっかりと問題提起すべきだと思います。
写真は、協定を円滑に進めるための重要な資料です。
だからこそ、写真撮影の手間を当然の無償作業として扱うのではなく、その性質と費用負担の所在を、修理費とは別の問題として整理していく必要があると思います。
