修理方法を検討する場面では、「交換がよいのか、それとも補修で足りるのか」を感覚で決めてはいけません。大切なのは、交換と補修の合理性を比較して判断することです。そして、その比較は大きく分けて 物理的な合理性 と 経済的な合理性 の二つの観点から行う必要があります。

まず、物理的な合理性とは、その修理方法で本当に損傷を適切に回復できるのか、という技術的な観点です。たとえば、部品が大きく変形していて、補修をしても強度や精度、仕上がり、耐久性に問題が残るのであれば、その補修は物理的に合理的とはいえません。この場合は交換の方が合理的です。逆に、軽いへこみや表面的な損傷で、補修によって安全性・機能・耐久性・美観が十分に回復できるのであれば、補修には物理的合理性があります。つまり、物理的合理性とは、その方法で事故発生直前の状態への回復が可能かを判断する視点です。
次に、経済的な合理性とは、回復に必要な費用として見たときに、どちらがより合理的かという観点です。たとえば、補修は一応可能でも、手間が非常にかかり、結果として交換より高額になるなら、その補修方法は経済的に合理的とは言いにくくなります。反対に、補修で十分回復でき、しかも交換より費用が低いのであれば、補修は経済的にも合理的といえます。つまり経済的合理性は、必要な回復を達成するために、その費用負担が見合っているかを見る視点です。
分かりやすく言えば、物理的合理性は「直るのか」をみる観点であり、経済的合理性は「その直し方にその費用をかけるのが相当か」をみる観点です。この二つは似ているようで別です。補修が物理的には可能でも、費用がかかりすぎれば経済的合理性に欠けますし、逆に安く済むからといって、強度や仕上がりに問題が残る補修であれば、物理的合理性に欠けます。
したがって、修理方法の検討では、まず技術的に回復可能かを確認し、そのうえで費用面の相当性を比較することが重要です。「安いから補修」でもなく、「新品の方が安心だから交換」でもなく、物理面と経済面の両方から比較して、はじめて合理的な修理方法が導かれるのです。
